伊丹の田村浩也さんが主催する「ひみつの図書室」で一時間ほどお話ししました。
お題は「日本が好きになる!歴史授業はどうやってできたか」。
今年の春?にほぼ同じお題で田村さんのもう一つのグループでお話ししてちょっと悔いが残っていました。そのときは「どうやってできたか」にとらわれすぎて時系列で出来事をお話しして、ちょっとクロニクルっぽい話になってしまいました。結果、具体的な授業にはほとんど踏み込めなかったのです。
今回はその反省を生かして「どうやってできたか?」で授業やカリキュラムの構造や意味についてお話しできるような組み立てを考えました。どちらかというと「授業はどうできているか・その意味は?」という内容が中心になるようにして、そのためには時系列な順序は実際と違ってもいい(その点では多少のフィクションも入る)という考え方で組み立ててみました。
いぞれにせよ、こういうお題は初めてだったので、これまでお話ししたことのない内容になり、少し時間もかかりましたが自分にとっても勉強になりました。
これは田村さんがぼくの実践を深く理解してくださっている証左で、とても嬉しい企画になりました。ありがとうございました。
以下のお話しをしました。
1 歴史授業改革の授業実践研究はまず「近現代史の授業改革(とくに昭和の戦争の授業改革)」を目標にスタートし
たこと。
2 昭和の授業はどうやってできたか
・「満州事変の授業」を例に
・相手(敵)のある歴史授業の基本的な考え方
・その原型になっている「満州事変の授業」
3 「天皇中心の国・日本」という国民の物語をどう授業してきたか
・戦前の皇国史観との違いを明確にする(天皇親政ではなく立憲君主制を評価することを軸に)
・古代から近代のカリキュラムの中で何をどう取り上げてきたか
・政策選択問題の3つのステップ
・日本の国体と世界標準の政体との違いと近代における相似について
・平安時代の日本的立憲制の成立(権威と権力の分離)の意義について研究を進める
まだ生煮えのトコロがあるのでここでは「見出し」だけ掲げておきました。
伊丹の会場に7名、オンライン参加が30名ほどでした。
ご感想をいただきましたので最後に一部紹介します。
◆日本を好きになる歴史授業の二大テーマをお聞きできて、点と点が線になっていく感覚をえました。(田村さんの授業も思い出しながらお聞きしました!)
ひとつの事実からではなくて、歴史全体から物事を多角的に見て、我が事としてどう捉えるか?とても大切なことだと感じました。
「自分がリーダーだったら、どのように判断するか?」子どもたちが日本人として誇りを持って考える時間はかけがえのない経験になると思います。本当にありがとうございました。
◆「生徒に選択をさせる」という視点がとても面白かったです。聴いているだけではなく「自分事」として捉えてその時の時代背景やリーダーの苦悩、空気感など受け取る為に聞いているだけではない臨場感が作れるように感じました。
◆社会科教員である私の歴史の捉え方の浅さを感じる時間となりました。歴史教育はよく、右VS左の論争になることが多いですが、それを超越する本質的な歴史の捉え方を感じる時間となりました。冷静に史実と向き合う姿勢を見習いたいと思いました。
天皇に「権威」、当時の実力者に「権力」と言うバランス感覚は、他の組織運営にも生かせると感じます。シン・皇国史観で日本が世界のリーダーになると思いました。
◆学校では近現代史はさらっとやる位であまりしっかり学ばず、なんとなく「日本は侵略した悪いことをした」と思ってきましたが、このように丁寧に教えていただけてすごくスッキリしました!子供たちに考えさせる、と言う授業のやり方が素晴らしいと思いました!天皇の存在も、確かによくわからない…と子供心にモヤモヤを感じていたことを思い出しましたが、今回教えてもらえてすごく腑に落ちました!「シン・皇国史観」すごく良いと、広まって欲しいと思いました。
このような授業がもっと広まってほしいと保護者としては思うのですが、現在の教育現場(公立校)ではどうなっているのでしょうか?昔(私が学んだ頃、30年前位)と変わらないのでしょうか?
◆ 歴史のお話を聞いたのは何十年ぶりかという感じでしたが、目から鱗というか、とても興味深く聞かせていただきました。
天皇の存在というものの意義を改めて知り、日本人って素晴らしいと思うことができました。
まさに自分も子どもたち同様、戦争は日本が悪いと思っていました。なぜこの戦争を始めることになったのかについて考えたこともありませんでした。
このような授業を受けることができたら、戦争に対する認識が全く変わると思います。もっと先生のお話を聞きたいです。ありがとうございました。
◆日本と言う国が天皇を中心として受け継がれてきたことに触れる時間となりました。考え方から気づきがいっぱいでした。学生時代は歴史が苦手でしたが、ここ数年は日本の歴史や先人が守ってくれてきた。未来への思いに関心と感謝が深まってきています。日本人としてちゃんと学びたいと思います。歴史に感謝して未来へつないでいく今、間違った歴史を学び続ける学生に何かできないかな?と思いました。初めて受ける授業が齋藤先生だったらもっと楽しめたのにな、と思いました。
◆齋藤先生ありがとうございます。先生の授業を追うにはテキストを見て真似するだけでは全く違う!とわかりました。こんなに深い思慮、考え方、裏付けがあったことを聞かせていただき、本当に目が覚める思いでした。今、現代の天皇について、大人も子供も日本人全体がどれだけのことを理解しているのだろうか。自分もわかっている?とは断言しがたいが、昨今の皇室バッシングのコメントなど見聞きするごとに「こんな国民でいいのか…」と嘆かわしい気持ちになります。齋藤先生はこれからの天皇は国民にとってどういう存在になっていくと思われますか?
◆非常に内容の濃い、いい時間になりました。戦時中の話は「なぜ戦争をするの」って簡単に言いますが、その時その時で最善と思って判断していたことなのだと言うことを「自分がその立場なら」を考えるとよくわかりますね。
日本を好きになる…非常に大切だなと思うと同時に、ハマスーイスラエル問題でもわかるように、相手国の立場だったら…を考えることも大切だなと思いました。
◆あらためて,何のために教えるのか,という教育の目的意識から授業づくりをされている齋藤先生のポリシーに頭が下がる思いです。
また,事実の羅列ではなく,ストーリーや先人たちの決断のしかたや気持ちを中心に据えることも大事なのだと気づかされました。
私たちにとって象徴である天皇と,戦前までの天皇への想いはまるで違ったということなんですね〜新たな視点をいただけました。ありがとうございました。
◆天皇が2000年続いていた奇跡!し続けようとしたわけではないけれど、結果そうなった。本当に、今の日本があって、そこにいることの奇跡ですね。ご先祖様に感謝です。
◆ ご講義ありがとうございました。興味深く聞かせていただきました。「御前会議の流れや結果に納得できないのではないか」という疑問からスタートして、そこから掘り下げて、掘り下げて、これだけ膨大な授業群に広げていかれたことに畏敬の念を抱きました。これほどのこだわりを持って授業づくりをする大変さを考えると驚くばかりです。「子供たちが納得できる授業を作りたい」、その熱い思いを形にしていく、斉藤先生の教師としてのあり方、(リモートですが)直接お聞きできて嬉しかったです。ありがとうございました。
◆社会科の教員ではないのですが、先生のお話に引き込まれて、一生徒として、とっても楽しく、興味津々でお話を聞かせてもらいました。物事の背景を知る。多面的な見方をする。大切だなぁ〜と思いました。2000年も続く天皇制、そしてそれを受け継いできたご先祖様への感謝。日本人として誇りに思いました。ありがとうございました!
◆齋藤先生、本日はありがとうございました。今回のお話をお伺いできて本当よかったです。「日本のことが好きになる歴史授業」のバックボーンを知り、齋藤先生の作られた歴史は何がポイントとなっているのかとてもよく分かりました。今回のお話を聞いて授業することでより、齋藤先生が描かれた「日本人の物語」が多くの先生方から、多くの子どもたちに共有されていくと思います。
齋藤先生のご苦労もたくさんお伺いでき、信念をもってやっていくことの大変さを感じながらも、一方で使命感をもって生きていくことでのエネルギーや熱量に元気をもらいました。子供達が生きるエネルギーをもっていくことができるように、自分も自分にできることをこれからもがんばりたいと思います。
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