前回、講座でやった中学生向けの授業のタイトルだけ載せましたら、メッセンジャーで「どんな授業なだったのか解説して」というありがたいご要望がとどきました。
うまくいくかわかりませんが、ちょっとやってみます。
東京裁判の授業
順序は逆ですが、はじめに昭和の戦争の授業の全体像をつかんでいただくために、最初に東京裁判の授業をやりました。
この授業はいまから25年くらい前に島小学校でやりました。
以下の通りです。
1 裁判の4つの役割
検察官(連合国11人) 被告(日本のリーダー28人) 弁護人(日本人とアメリカ人) 裁判官(?)
お話の都合上裁判官は?にしました。いつどこでなどの基礎知識と裁判所の写真。
2 裁判に参加する
「これから〇〇年前の市ヶ谷の裁判所に皆さんを連れていきます。みなさんには、この裁判に弁護人として参加して
いただきます。検察官キーナンの検察側意見をしっかり聞いて、弁護側意見を書き、発表してください」
・資料「検察側意見」は前回の投稿をご覧ください。
・小学校では、検察側意見と弁護側意見の両方を読んで、感想や考えを書くという課題でした。
小学校では個々の戦争を詳しく学ぶ授業は難しく、またカリキュラム上もできない(文科省)からです。
・中学校では、「戦争が終わった後に弁護側の意見を述べられるようになる」という目標を立てて授業を組み立てて
いきました。津田学園中学校と浦和実業学園中学校で実施しました。どちらの生徒も中学生なりにりっぱな弁護側
意見を発表できました。
・今回の姫路では、参加者にこれを求めるのは難しくまた時間的にも無理でしたので、授業のために作成した弁護側
意見を紹介しました(これは25年前の作ではなく修正を加えてあります)。
3 判決を知る
「どんな判決が出たか予想します。A 全員有罪 B 有罪と無罪がいた C 全員無罪」
・全員有罪 7名死刑 16名終身刑 2名有期刑 3名判決除外(2名死亡・1名精神病)
4 裁判としての欠陥を知る
・罪刑法定主義違反(この裁判の罪状そのたが依拠した法律はこの裁判のためにつくられた。このような事後法によ
る裁判は不正な裁判である)
・裁判官選出の不正(裁判官11名は検察官11名とまったく同じ連合国から選出された。日本はもとよりスイス・スェ
ーデンなどの中立国も排除された)
・証拠採用の不正(弁護側の証拠はほとんどが採用されず、検察側の証拠はすべて伝聞までが採用された)
5 裁判に対する評価を知る
・日本には(たとえ裁判として問題があったとしても)「正義の文明が悪い国日本を裁いた平和のための裁判だっ
た」と高く評価する知識人が多い
・世界の国際法学者の多くはは「東京裁判は裁判ではない」と否定している。
・パル判事の無罪判決と3つの柱「被告人全員は無罪」(採用されず、開示もされなかった)
・ウエッブ裁判長・レーリンク判事・キーナン検察官・マッカーサー総司令官の反省・否定論
・「戦犯を赦免する国会決議」(1952~53)
日本の国会は、衆参両院の全議員が賛成して東京裁判および各地の戦犯裁判の被告を赦免し、連合国の同意を得
て、受刑者是認を解放した。すでに死刑に処されていた者は「国のために戦って戦死した者」とした(法務死)。
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