2020年11月10日
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本居宣長『古事記伝』のカミ
・古御典に見えたる天地の諸々の神たち
・其の祀れる社にいます御霊
・鳥獣木草のたぐひ海山など、其余何にまれ
尋常(よのつね)ならずすぐれたる徳のありて可畏き物(かしこきもの)を神とは云うなり。
・「すぐれたる徳」とは? 善いこと、功しきことだけでなく、悪しきこと、奇しきことであっても、凡人よりすぐれた力を持ち畏怖すべき存在が神
・貴賤、強弱、善悪の別なく神はある
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タマ・モノ・オニ
・タマとは霊魂のこと・・・すべての存在はタマを持つ(人・動物・植物・鉱物・土地・言葉など)
・モノとは物体全般のこと。霊的存在の霊異を恐れて「名指しすることをはばかってモノと呼ぶ」
・オニは隠れて見えない存在を云う。漢字の「隠」に母音iがついた。漢字以後に生まれた言葉。
★折口信夫説・・・原初的観念はタマ、善いタマはカミになり、悪いタマはモノになり、後に善悪を兼ねるオニが生まれた。
★霊的存在の古形として語尾の「チ」「ミ」「ヒコ」「ヒメ」「ヒ」「ヌシ」「タマ」「モチ」「カミ」などがあり、すべての総称として「カミ」になったという説もある
★カミが神になって、カミの否定的面がモノやオニになったとする説。
モノ(名指し得ぬモノ)は怨霊をさすようになる。オニはカミの最も荒々しい面を取りだした。
しかし、カミにも否定的面は含まれ続けた(犬神、猿神、付喪神)。
★タマもカミも目には見えないとされた・・・・依り代、ご神体
★タマは神体から遊離し、カミも鎮座地から遊離する
★タマもカミも巫女や子供などに憑依して人に意思を伝える。夢告も。
★神の怒りは祟る。祟りは疫病や自然災害などで現れる。祟りを避けるために祭る。
正しく祭れば安寧(収穫・天候)は保たれるが、祭りを怠り禁忌に触れると再び祟る。神の祟る面がモノである。
★神は慈愛に満ちた存在では無い。祟りを恐れ祭り続ける。
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祭りと神社
・マツリ・・・神を招き供物などを捧げる行為
・マツリの場所・・・神霊の依り付くところ
岩:磐座イワクラ、樹木:神籬ヒモロギ
剣や鏡などの人工物
山(御岳・大山)
島(御島・厳島)
・ヤシロはこの祭場のことで、神社の原型
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★大和言葉が音声だった時代と、漢字と結びついた時代では意味が異なっていくのだろう。 「タマ」「カミ」「モノ」「オニ」という大和言葉が、「霊」「神」「物」「鬼」という文字で書かれるようになると漢字の原義や用法に引きずられて意味が変容するのだろう。


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