6月講座のこと(第3回) 2



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さらっとレポートしようと書き始めたら、前回は聖徳太子の授業3「遣隋使の国書」をまるごとい書いてしまった。これは老化のせいですね。計画通りいきません。反省に今回はコンパクトにまとめます。

第3回は「古代日本の国づくり 2」で律令国家日本が完成するまででした。
聖徳太子の次は中大兄皇子で「大化の改新」が出てきます。

大化の改新の授業

大化の改新はだいたい教科書の内容ですが、乙巳の変・大化の改新の位置づけがちょっと違います。
前に少し書いた「シン皇国史観」という趣旨で次のような学習活動を設定してあります。

①蘇我氏の台頭についてのお話を読みます。
発問「あなたが当時の朝廷のリーダーだったらどちらの国づくりを選びますか?
    A 実力者中心の国  B 天皇中心の国 」

③選択し、理由を書き、自分の立場を示し、話し合う。

・Aが世界標準(中国・西洋)です。
その時代の実力者(おもに武力における)が国をまとめます。
Bは日本オリジナルです。
この時代まではAとBは一致していましたが、蘇我氏が出てきてそれが分裂したという位置づけをしています。

・だからAは革新派で、Bは保守派になります。
伏線として、冠位十二階という聖徳太子の政策があります。子供たちはいつまでも家柄でリーダーを選んでいたら国は発展しない。朝廷の政治家・役人は実力で選ぼうという聖徳太子の政策に大賛成でした。
ここでは同じことを「国の中心はどうなの?」と問うことになります。

・シナの易姓革命の思想(孟子)です。
いままで天皇は家柄(血筋)で選んできました。これからもそれでいいのか?と考えることになります。
これは議論になります。血筋では真のリーダーは生まれない。実力で選ぶべきだ。これがこどもたちにとっては「正論」になります。

・Bの立場(保守派)はやや劣勢になります。なぜなら彼らも冠位十二階を支持していた近代人だからです。
「聖徳太子の方針(天皇中心の国)を守りたい」「なんとなく国の中心実力だけではだめだと思う」「国の中心は普通のリーダーとは違う」など消極的です。仏教伝来と遣隋使の留学生のところで「だれが国の中心になるかで戦争が起き、国家が興亡していくシナの歴史」を出していて、これが伏線なのですが、子供たちの話し合いではっきりこの論点が出てくるのは中学生の授業でした。

・子供たちは、乙巳の変・大化の改新が起きて、歴史はBの方針で進んだことを知ります。

・子供たちは、摂関政治や頼朝の鎌倉幕府などで、先人が選び続けてきた国柄について考え続けることになります。
 壬申の乱もこの点では重要な教材かもしれません。今後考えていきます。

◆かつての「皇国史観」ではこのような話し合いは絶対にありえません。
万世一系は神が決めたことでしたから、神話で、天照大神の神勅で決まってことでした。学校でもそう教えられ、疑問を持つことさえ許されない教育でした。

◆ある意味で皇国史観は、歴史法則を妄信する共産主義史観と併行的でした。
「日本が好きになる!歴史授業」の「シン皇国史観」はまずここを超えたいと思いました。
天皇制は2000年の歴史を通して先人が選び取ってきた結果だととらえます。
だからそうはならなかった可能性も歴史の中にはゴロゴロころがっています。
いまも天皇制が維持されているのは「偶然」の結果ともいえますが、同時に先人の強い意志と努力の結果だととらえたいのです。神話で決まっているからではありません。

◆乙巳の変と大化の改新を準備したのは、第一回・第二回の遣隋使で大陸に渡った留学生たちでした。
大帝国隋がわずか40年で滅亡して唐という別の大帝国に替わってしまったという、歴史的な大事件に遭遇し、つぶさに目撃してきた留学生たちでした。
彼らは「シナ文明には学ぶけれども、シナ文明と異なった文明原理を持つ日本を建設しよう」という強い意志をもって帰国したのではないかと空想します。高向玄麿や南淵請安などです。中大兄皇子や中臣鎌足は彼らに学んでいます。
まさに日本の第一次文明開化(第二次は明治)の担い手たちでした。

白村江の戦の授業

これは朝鮮半島の地政学です。唐新羅同盟が「遠交近攻策」であること、この挟み撃ちで百済と高句麗が滅亡したこと、唐は最後に裏切って新羅を滅ぼそうとしたことを知ります。
唐新羅同盟とは、唐が朝鮮半島全体を支配したいという目的のための手段でした。

発問「唐が新羅に攻め込みました。あなたがリーダーだったらどれを選びますか?
    A 唐と組む    B 中立を守る    C 新羅と組む

・天智天皇は「B 中立」で国防に専念し「中央集権国家」をめざした。
 天武天皇は「C ひそかに新羅を応援」しながら一気に「中央主権国家」を建設していく

・このとき二人が「A 唐と組む」を選んだら、はさみうちで新羅が滅亡し、次は日本が攻められる番だったことでしょう。

・朝鮮半島は文明の通り道だでした。よきものが渡ってくる橋でしたが、もしこの橋を日本に悪意を持つ国がおさえたら、一気に日本の安全が脅かされることがわかります。これがこの授業の目標でした。
この授業は元寇と日露戦争の伏線になりますから、白村江で一時間の授業に作りました。

このあと、

古代日本の国づくりの完成・奈良の大仏・天平文化の輝きの授業

で「皇帝ー天皇」と君主の称号で形式的にシナと対等になった日本が、文明国としての内実を備えた国として完成していったことを学びました。

・圧倒的なシナの漢字文明(第一次文明開化)の影響下にスタートした日本が、大陸とは異質な独自の文明になっていきます。
その萌芽が、日本語としての漢字導入・和歌の前の平等(身分平等・男女平等)、正倉院の勅封の威力、世界レベルの天平の仏像たち・世界一の鋳造物の成功、弥生の穀物倉庫が伊勢神宮になった等々でした。

・7月は第4回です。平安~江戸まで「日本文明の形成」を急ぎ足で行きます。
1000年の歴史を1回で済ませるのはわけがあります。
それでは次回お会いしましょう。

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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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